引き戻してくれて、どーも。

知らない街というのは好奇心をかき立てられる。
どんな建物があるか、そこにどんな人がいるのか、どんな匂いがするか。
それが海外だとそこに少しの緊張が加わるのだけれどもここは日本やし首都やし。
たった2日間だけれど1人やしどこに行こうが自由だ。自分のリズム。
基本歩きがメイン。でも滞在期間は短いし無駄に歩けない。本当はぶらぶらと思うがままに探索したいのだけれどそうも言ってられない。なれない土地だが地図を大っ広げて確認するのだけはしたくないから、極小のメモ帳にあらかじめ行きたい所を決めておいた手描きの地図をポケットに忍ばせる。


上野公園に着くともう人だらけ。だらけ。
何でこんなに人がうじゃうじゃと・・・と思ってたら、ああそういうことなのね。
上野公園て桜で有名なん？かなりすごいんですけど。桜のアーチ状態。しかも酒くさいし、何か。まだ宴会には早いんじゃね？っていう時間やったけれどみんなかなり出来上がってます。
日本人は働いてばかりで休み方を知らないってよく言うがこれを見る限りそんなこたぁーねーよ。宴会上手なニポンジン。
写真撮りながら「よう、にーちゃんも一杯どうでぇい」みたいな江戸っ子なお声がかかるかと期待していたけれどそう簡単にはかからん。かからんて。
しかし花見て酒飲むってなんて斬新なんやろ日本人て。


中野にあるpapabubbleっていう飴ちゃん屋に行く。
中野って何かいいね。初めて来たけれど、ここなら住んでもいいかも。
で飴ちゃん屋で「写真撮ってもいいすか？」って聞いたらOKの返事の後、スタッフ全員急にまじめな顔になって黙々と作業しだす。イヤ、あんたら今まで昨日の試合はあーだこーだ言うてたやん。あとすごいレジの娘の対応が冷たい。あれには醒める。
かりにもキャンディっていうメルヘンなモノ扱ってるやからもっと夢のある対応して欲しいわ。「ありがとうピョン」とか。「また来てニャン」とか。中野にあってるやん、そっちのほうが。偏見。
逆にスタイリッシュに行くんやったらもっとトコトンやったほうが。スタッフ全員イケメンで統一するとかさー（別に現在のスタッフの方のお見た目がどうのと言ってるわけでは決してありません）。レジの娘が「あんたにやる飴はこれで充分よ！」とか。もうすでに別のプレーになってるわけだけれど。まあこれぐらいの意気込みで挑んで欲しいってことです。客も本気なんだから。逆に。逆に？


表参道では岡本太郎記念館に行ってカメラをあえて白黒モードにして撮り彼から色彩を奪ってやったぞ！！って言って、妄想で太郎さんにこっぴどく叱られたり。
スパイラルホールって思ったほどスパイラルしてないのね、とか。
仲良く手をつないで歩いている老夫婦に声をかけて被写体になってもらったり。「わしらより桜とか写したほうがいいんじゃない？」「桜なんかよりもよっぽどお二人のほうが魅力的ですよ」とか会話してみたり。






昼間移動中に乗った電車はスーツ姿の若いサラリーマンでいっぱいやったなぁ。この街の人はみんな何か薄いベールみたいなもので自分を覆って本当の自分を押し殺してるような気がしたけれど、昼間の彼らのそのベール越しにみえた表情は思ったより生き生きとしてて、伝統ある強豪チームに挑む若手のようなあまり深く考えず何かやってやるぞ的な、そんな目。
ここに寄ったのは正解やったわ。引き戻してくれて、どーも。